「風邪のような症状の後に、首の片側が腫れて激しく痛む」「高熱が続くが、インフルエンザや扁桃炎ではないと言われた」
このような症状がある場合、亜急性甲状腺炎の可能性があります。
亜急性甲状腺炎は、ウイルス感染後をきっかけに甲状腺に強い炎症が起こる病気で、首の前方(甲状腺部)の強い痛みと発熱を特徴とします。痛みが強く日常生活に支障をきたすこともありますが、適切な診断と治療により多くは数か月で回復する一過性の病気です。
亜急性甲状腺炎

「風邪のような症状の後に、首の片側が腫れて激しく痛む」「高熱が続くが、インフルエンザや扁桃炎ではないと言われた」
このような症状がある場合、亜急性甲状腺炎の可能性があります。
亜急性甲状腺炎は、ウイルス感染後をきっかけに甲状腺に強い炎症が起こる病気で、首の前方(甲状腺部)の強い痛みと発熱を特徴とします。痛みが強く日常生活に支障をきたすこともありますが、適切な診断と治療により多くは数か月で回復する一過性の病気です。
亜急性甲状腺炎は、甲状腺の組織に炎症が起こる疾患の一つです。女性に多く、30〜50代で発症することが多いとされています。
亜急性甲状腺炎では、炎症によって甲状腺の細胞が障害され、甲状腺内に貯蔵されていたホルモンが血液中に漏れ出す(流出する)ことで、一時的に甲状腺ホルモンが高くなります。
これは、バセドウ病のようにホルモンを「作り過ぎている」状態ではありません。
亜急性甲状腺炎は、多くの場合以下の経過をたどり、自然に回復します。
中毒症期(数週間〜1〜2か月程度)
首の痛みや発熱が強く、FT4・FT3が高値、TSHが低下することがあります
一時的な正常化
甲状腺ホルモン値がいったん落ち着きます
機能低下期(数週間〜数か月)
甲状腺ホルモンが不足し、TSHが上昇することがあります
回復期
甲状腺機能が正常に戻ります
※全経過は2〜6か月程度が目安ですが個人差があります。
※一部の方では、その後も甲状腺機能低下症が残ることがあります。
甲状腺部の強い痛み
首の前方(のどぼとけの下あたり)が強く痛みます。片側に始まり、反対側へ移動することもあります(creeping thyroiditis)。飲み込みや首の動きで痛みが増すことがあります。
発熱
38℃以上の高熱が出ることがあり、関節痛や筋肉痛を伴うこともあります。
これらの症状から、初期には風邪や扁桃炎と考えられることも少なくありません。
※甲状腺眼症(眼球突出など)は通常みられません。
亜急性甲状腺炎の正確な原因は完全には解明されていませんが、ウイルス感染後の免疫反応が関与していると考えられています。発症の数週間前に、かぜ症状や咽頭痛などがみられることがあります。
「甲状腺ホルモンが高い=必ずバセドウ病」というわけではありません。亜急性甲状腺炎では、痛みと炎症反応の評価が診断の重要なポイントになります。
血液検査
CRP・赤沈:上昇することが多く、診断の決め手
FT4・FT3(高値)、TSH(低値)
TRAb、抗TPO抗体など:鑑別目的
甲状腺エコー(超音波)検査
炎症部位に一致した低エコー域
血流は増加せず、低下傾向を示すことがあります
甲状腺シンチグラフィ(必要に応じて)
放射性ヨードの取り込み低下を確認します
亜急性甲状腺炎は自然に治る病気であり、治療の中心は症状を和らげる対症療法です。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
痛みや発熱が軽度〜中等度の場合に使用します
ステロイド(副腎皮質ホルモン)
痛みや発熱が強い場合、またはNSAIDsで十分な効果が得られない場合に使用します
※症状が改善しても、自己判断で中止・急な減量はせず、医師の指示に従って段階的に減量します
β遮断薬
動悸や手の震えなどの症状が強い場合に、一時的に使用することがあります
安静と休養を優先
痛みや発熱が強い時期は無理をせず、激しい運動は控えましょう
飲酒は控えめに
炎症が強い時期は控えることが望ましいです
入浴は体調に合わせて
高熱時は避け、症状が落ち着いてから短時間のシャワー程度から再開します
自己判断で治療を中断しない
特にステロイド使用中の自己中断は再燃の原因になります
亜急性甲状腺炎そのものは、一般的に人から人へうつる病気ではありません。
多くは数か月(2〜6か月程度)で回復します。経過中に一時的な機能低下期を経ることがあるため、定期的な検査が必要です。
再燃(ぶり返し)を起こすことがあります。特にステロイドの減量が早い場合に起こりやすいため、医師の指示に従うことが重要です。
亜急性甲状腺炎は炎症によりホルモンが漏れ出す病気で、強い痛みと炎症反応の上昇が特徴です。バセドウ病は自己免疫によりホルモンを作り過ぎる病気で、治療法が異なります。
軽症であれば一時的に改善することもありますが、強い痛みや高熱が続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。
亜急性甲状腺炎は、首の強い痛みと発熱を伴うつらい病気ですが、適切な診断と治療により多くは回復します。風邪の後に首の痛みや高熱が続く場合は、自己判断せず甲状腺専門医による評価を受けることが大切です。
当クリニックでは、亜急性甲状腺炎に対して専門的な診断と治療、経過観察を行っています。気になる症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
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